金相場は20年間下落トレンドが続いていた
金価格が最高値をつけた1979〜1980年にかけては、イラン革命や第二次オイルショック、旧ソ連のアフガニスタン侵攻など、歴史的な大事件が勃発しています。
このときまさに「有事の金」が資産の逃避先として注目され、金価格はあっという間に歴史高値をつけることとなったのです。
しかしながら、短期間で暴騰した反動も大きかったことから、相場は短命に終わってしまいます。
その後は、1999年に1トロイオンス=252ドルの安値をつけるまで、金価格はおよそ20年にわたってほぼ一貫して下落し続けました。
なお、この間には、1987年のブラックマンデー(ニューヨーク市場の株価暴落)や湾岸戦争勃発などを材料に買われる場面もあったのですが、最高値をつけた時のような大相場に発展することはありませんでした。
これには、ベルリンの壁崩壊に象徴される東西冷戦の終結によって、大規模な戦争が起こる可能性が低くなり、「有事の金」は時代遅れであるというムードが投資家の間に広がってしまったことがあるようです。
ちなみに、湾岸戦争によって中東に緊張が走った際にも、1980年代のような大相場には発展しませんでした。
また、原油価格の下落によりインフレ懸念も沈静化したことから、もう一つの有力な買い材料もなくなってしまったのです。
以上のように、同時多発テロ以前の「金」というのは、一時的にではあるにせよその輝きは完全に失われていました。
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