金利差による相場形成は?
「金利差」という材料は、とくに市場に材料がなくなると浮上するものといえます。
この金利差の論理は、「お金は金利の高いところから低いところへ流れる」というものですが、これについてはたいした根拠はないともいえます。
というのは、確かに預金ベースで考えれば、金利が少しでも高いところに預けた方が有利ですが、為替相場に影響を与える投機資金というのは、大半が株式や債券であって、預金で運用されているわけではないからです。
つまり、株式にとって金利上昇というのは、基本的にはネガティブ要因であり、金利上昇は景気の抑制につながり、株価にとっては下落要因になるのです。
一方、債券の場合は、金利上昇がネガティブ要因になることもあれば、ポジティブ要因になることもあります。
債券の場合は?
例えば、これからインフレ懸念が浮上するという局面において金利が上昇すると、どんどん長期金利が上昇するので、債券価格は下落の一途をたどります。
つまり、債券相場にとってはネガティブ要因になります。
このような局面で、金利上昇を材料にその通貨を買うというのは変な話になってしまいます。
ただし、長期金利がある程度の水準まで上昇していて、それでもなおインフレが進むために短期金利を引き上げていくという局面では、むしろインフレ抑制期待から長期金利の上昇に歯止めがかかるので、債券投資には絶好の機会となります。
よって、日米金利差が拡大するから、ドル買いというロジックは、わかりやすいのですが、上記のような欠点もありますので、注意が必要です。
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