購買力平価とはどのようなものですか?
外国為替というのは、そもそもは2国間の通貨の交換レートです。
国を越える貿易を行う際に、それぞれの国で流通する通貨が異なることから、いくらが交換レートとして正しいのかが問題となります。
そこで、それぞれの通貨の購買力、例えば100円でどれだけの財やサービスと交換できるのか、1ドルでどれだけの財やサービスと交換できるのか、ということを調べて、2つの通貨の購買力比率から交換レート、つまり為替レートを導くという考え方を「購買力平価」いいます。
この購買力平価という考え方は、19世紀、デヴィッド・リカード氏※をはじめとするイギリスの経済学者による研究から登場し、20世紀初頭にスウェーデンの経済学者スタグフ・カッセル氏が、為替レート理論の中核に据えることにより有名になったものです。
※比較優位説の創始者です。
購買力平価への批判とは?
この購買力平価については、学者の間でも賛否両論あり、批判的な学者も多くいます。例えば、2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏がその1人です。
クルーグマン氏の専門分野は国際経済学であり、まさに外国為替相場のメカニズムの研究者なのですが、購買力平価については、つぎのように主張し批判しています。
⇒ 購買力平価はどのような形に直しても現実のデータをうまく説明しない。とりわけ、各国の物価水準変化は為替レートの動向について我々にはほとんど何も教えてくれないことがしばしばある。
つまり、クルーグマン氏は「一物一価の法則」さえ成り立たないのは、輸送費用や貿易障壁(関税など)が原因であると考えているのです。
さらに、「一物一価の法則」さえ成り立たないのに、国を超えないで消費されるヘアーカットなど非貿易財が多数存在することを考慮すると、商品やサービスの集合についての物価水準が2国で均衡するなどあり得ない、すなわち「同じ通貨で測れるのであれば、すべての国の物価水準が等しくなることを主張している購買力平価は成り立たない」と考えているのです。
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